私は勢いよく起き上がった。
が、目眩に襲われてふらついた。
カムイの手によって何とか倒れずに済んだ。

「おい、どうした?」
私を支えながら尋ねる。


わからない…自分の名前がわからない。
他のことは……大丈夫、年齢も住所だって、大家さんの名前も、自分の名前以外ならは、覚えてる。
落ち着け、自分。大丈夫、思い出せる。

そう思いながら、自分の名前を思い出そうと神経を集中させると、酷い頭痛と息苦しさに襲われた。


「ダルクっ!部屋にゲリールを呼べ!」
カムイは私の異常を察知したのか、私を抱き上げて走り出した。