ただ可愛いと思ってた。他の生徒たちと変わらないように…
ある時、名前の話になった。
「先生、名前なんつーの?」
「えっ?篠塚だけど?」
「ちっげーよ。下の名前。」
「えっ?りのあだよ。ほら、人気のゲームのヒロインと同じ名前なの。…って古いから知らないか。」
「いや、知ってる!オレ、アレにかなりハマったぜ!!」
いつものようにクダラナイ話をして時間は流れた。
その日の帰りに塾の向かいのコンビニの前で、塾の生徒たちに会った。その中にもちろん浜野君もいた。
「あっ先生、今帰り?」
「そうだけど?みんなも早く帰りなよー」
みんなに別れを告げて、その場を去ろうとしたとき、後ろから声がした。
「夜道で変な男につかまんなよ!!りのあはオレの女なんだから!」
まぎれもない浜野君の声だった。私は思わず振り返り、彼に向かってほほ笑み返した。
冗談だってわかってる。
わかってるけど…わかってるけど、嬉しくてたまらなかった。