次の週の浜野君の授業でも多田さんの話で持ち切りだった。どうやら彼は、友達の協力のもと、多田さんのメアドを手に入れられたらしい。しかし、彼はまた悩んでいた。
「なぁ先生、オレさぁー女子にどんなメールしていいかわかんねぇんだけど」
これまた可愛い悩みだった。
浜野君は背は高めで細身。髪は黒く流行の長めの髪型。顔つきは目つきがシャープで実年齢よりも大人びている。
単純にかっこいいの部類に入るだろう彼だが、やはり14歳。まだまだ恋愛には不慣れなよう。(私だって人のこと言えないけど。)
「浜野君が多田さんに聞きたいコトをメールすればイイんじゃない?」私も不慣れだから、たいしたアドバイスができず情けなかった。
「でもさ、イキナリ質問ってどうなの?先生イキナリ聞かれたら困んない?」
浜野君は本当に用心深いようでさらに笑えた。そして私も思わずこんなことを口走っていた。
「自分に興味を持っている人がいてくれるのは嬉しいよ。だから多田さんは悪い気しないよ。それに浜野君はかっこいいんだから自信もちなって!いいな、多田さんはこんなに想ってもらえてさ」
つい本音を言っていた。もちろん深い意味なんてないけれど。私もこんな風に誰かに想われたいものだって思っただけ。