◆◆◆◆　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　俺はやっぱり眠れずリビングに向かう｡


楓の居ない冷え切った部屋を改めて見渡すと陣痛がきて痛かっただろうに…きちんと部屋が片付けられている｡


テーブルの上に置いてある籐のかごの中には昨日の夜
｢斗侑真.見て♪出来た!!｣
と喜んで俺に見せてくれた小さな小さなレースの靴下…｡


靴下を手に取る｡


｢小っちぇ…｡(笑)｣


思わず笑みが零れた…｡


寂しいのは今だけか…(笑)来週になれば天使の泣き声がこの部屋いっぱいに響き渡るんだ｡


俺と楓がその泣き声の理由が分からずにあたふたしている姿が目に浮かぶ…｡


俺はある事を思い出した｡


父親になって初めての仕事…｡


俺は時間も忘れて考える…いくつかの候補が紙に書き出されていく中…頭の隅に消えない文字｡


その文字がどうしても頭から離れない｡


直感で思い浮かんだ名前…｡


そんな簡単な理由で決めていいものか悩み.決めれずにいた時…再び不思議な感覚に襲われて俺は知らぬ間に眠ってしまっていた｡