お互い何も話さずに居た。


それでも今の私には斗侑真が横に
居てくれるだけで落ち着いた…。


車が急に止まって顔を上げると
目の前には綺麗な夜景が広がっていた。


窓を開けてその夜景を見ていた。


綺麗…。


「楓…俺…やっぱりお前の事だけ
は諦められない…。
もう一度やり直してくれないか?」


「えっ…。」


思いがけない斗侑真の言葉に振り返った。


「もう俺じゃダメか?
あの時本当に辛いって思ってた。
でもお前と別れた後の方がもっと辛かった。
俺…お前が居ないとダメなんだ。
楓…俺の最後の女になってくれないか?」


斗侑真の手が優しく私の頬を包んだ。


「楓…返事を聞かせてくれ。」


「……うん。…うん。」
何度も頷いた。


「楓.ごめんな。辛い思いさせてごめん…。
これからはずっと一緒だから…。
何があっても絶対に離さないから。
お父さんの分も俺がお前を幸せにするから。
俺に付いて来てくれ…。」


「斗侑真…。」


「やっぱりお前には名前で呼ばれる方がいい…。」


斗侑真からの優しいキス。


私の頬を気遣いながら斗侑真は何度もキスをしてくれた。