三浦主任の姿が見えなくなると再び抱きしめられた。


「痛っ…。」


斗侑真の肩が頬に当たる…。


咄嗟に出た言葉だった。


「……!!あいつに殴られた後か!?腫れてるじゃないか…。どこが大丈夫なんだよ…。楓…なんで一人で頑張ろうとするんだよ…。」


「緒方主任に迷惑は掛けれません…。」


「楓…もう名前では呼んでくれないのか?もう俺じゃお前の支えになれないか?」


「……。」


違うと言ってしまえばもう私の
押さえていた気持ちが溢れ出して
止まる事は無いだろう…。


気持ちを伝えてしまえば今度こそ
私は死ぬまで斗侑真から離れない…。


「楓…話しがあるんだ。乗って…。」


斗侑真が急に私の手を引いて
助手席のドアを開ける。


私が乗るとゆっくりとドアを閉めてくれる。


斗侑真が運転席に乗り込むと私の
大好きな匂いが私を包む。


斗侑真の横が私の1番落ち着く場所だと改めて思う。


今日一日張り詰めていた気持ちが
ゆっくりと和らいで行くのを感じた。