お兄ちゃんの気持ちも分からない訳じゃない。


自分の父親を轢いた男の息子。


もし私がお兄ちゃんの立場だったら…同じ事を考えていたかもしれない。


でも…私は斗侑真の事が好き。


ごめんねお兄ちゃん…。


やっぱり私は斗侑真の事だけは諦められないよ。


お母さんから話しを聞いて私の中で斗侑真への想いが募る。


会いたい…。


お母さんが帰った後…私は何度も
携帯を握りしめる。


画面に斗侑真の名前を呼び出しては消す。


「辛い…。」

ふと.あの日斗侑真が言った言葉を思い出す。


私が今.電話してしまったら.また斗侑真を苦しめてしまうかもしれない…。


自分がどうしたいのか…電話を
掛けて何を話すつもりだったのか…。


自問自答を繰り返す。


好きな人を苦しめたくない…。


私はそっと携帯を置いた…。