「本社に帰らないで…。離れるのが怖いの。」


私の我が儘。


そんな事が出来るはずがない。


「楓…俺を信じろ。
俺はもうお前以外の
女は考えられないんだ。」


私の頭を撫でながら斗侑真が囁く。


ずっと頭を撫でられていると
だんだん落ち着いてきた。


これ以上の我が儘は許されない。


斗侑真を困らせなくない。


「我が儘.言ってごめんなさい。」


「ちょっと待ってて。」


斗侑真が私の体を離してチエスト
の引き出しを開けて何かを探している。


私は座り込んだままそんな斗侑真
の姿をずっと見ていた。


戻って来た斗侑真の手から渡された物。


それは家のカードキーだった。


単純な事だけど今の私には大きな支えとなった。