毎日ルナの学習タイム

「戦争はあんまり良くないと思います。自分や他人を傷つけるだけですから」

素直に言い切った。

「確かにそうだね。でも、規模が小さい戦争はあるんじゃないかな?いわゆる喧嘩ってやつ。人間には必要だと思うんだよね」

喧嘩して成長することはあるが、その言い方では、戦争は決して悪くないと言っているようで、気分が悪い。
小太りの彼の言葉にもう一人のおじさんはため息をつく。

「お前、洋輔。セイちゃんにベラベラ喋べんじゃねえよ」

「お酒がまわっちゃったかな?」

「でも、喧嘩は成長過程の一つですから必要な時もあると思います」

適当に話を合わせて、その場の空気を保つ。

「そうだねぇ。セイちゃん、大人〜」

「あ、ありがとうございます」

酔いがまわってきたのか、若干フラフラしている。
口の悪いおじさんは、ただただため息をついて、呆れている様子。小太りのおじさんは、ずっとニヤニヤしていた。

その後、しばらくしてから、帰る、と言ったため、出口まで着いて行った。

「大丈夫ですか?」

大事なお客様に何かがあってはいけないと思い、優しく声をかける。

「ああ、大丈夫だ。悪いが、今日は帰るからな」

「良かったらまた来てください」

来ないでください。

「あ、ああ」

内面と矛盾した笑みを浮かべ、彼らを見送る。だんだん自分が怖くなってくる。

意外とチェリーさんもオレと同じ仮面の笑顔だったらどうしようと不安になりつつも、足を進め、店内に戻る。

だが、ここからがオレの……。

オレともう一人とのストーリーの始まりだった。