毎日ルナの学習タイム

「ごめんね〜、セイちゃん。おじさん達、仕事柄、他人にはあんまり言えない秘密主義な仕事だから」

「おい、変な言い方すんな。セイちゃんがビビんだろ」

確実に怖い仕事だ。
オレには縁がない話。高校生になってもこんな大人の社会の話を聞くとは思わなかった。

小太りのおじさんは、優しそうだが、口が滑りやすい。
口の悪いおじさんは、かなり性格がキツそうだが、仕事熱心にも見える。

そんな考察はいいとして……。
少々気になる部分もあるが、まだこの年で未知な大人の世界に首を突っ込みたくない。

そんな恐怖心を抱いて、その話はスルーすることにした。

「あの、話が変わりますが、みなさんは何故ここにいらしたんですか?」

「ネットで知っただけだ。で、こいつがかわいいって言ったから来たんだよ」

ネット!!!

まさか、この店の『ホームページ』が存在するのだろうか。
オレはそんなの知らない。ましてや、オレが勝手に載せられて、知られていることも……。

まずい。
ということは……国中の誰でも見られることになる。

「そうなんですか。ありがとうございますぅ」

「セイちゃん、大丈夫かい?もしかして怒ってる?」

おじさんの言葉でハッと我に返った。あまりにも衝撃が強すぎて、素が出てしまった気がする。

「いえ。ネットで知っていただけて、嬉しくて口調が変になっちゃいました」

なんとかしてごまかすオレ。

「セイちゃんはこの店で一番人気なのかな?ホームページでトップに載ってたからさ〜」

「(な、なんですと〜〜!)」

トップに載せるなんて、何を考えているのだろう。
ちなみに言うと、オレは今、現役高校生だ。そして、クラスメイトはもちろん、学校関係者は誰も知らない。
女装しているとはいえ、気づかれたくない。
オレは、気になりすぎて、会話に集中できなかった。それでも、踏ん張って会話を続ける。

「セイちゃん」

「な、なんですか?」

妙に緊張した雰囲気。
だが、先程のチェリーさんにもあったように、真剣に聞いていてもいいのだろうか。
少し不安になったが、彼はお客。真面目に返すことを決めた。

「セイちゃんは、戦争ってどう思う?」

「(戦争!)」

唐突な質問に動揺しつつ、オレはハッキリと答えた。