毎日ルナの学習タイム

「知ってますけど、オレ、いつまで続けなくちゃいけないんですか?」

「いつまででも♡」

「調子に乗らないでください」

この人が調子に乗れば、本気で一生この仕事をさせられそうで怖い。
だが、ここであっさりと引き受けたくはない。オレの将来に関わるからだ。

「何度言われても、オレの意見は変わりません!諦めて……」

オレが言いかけた時は、すでに時遅し。
ローズさんとフランさんがピンクにフリフリのレースがついたワンピースを手にして前に来ていた。

「チェリーさん!オレは着ませんって!大体、本職じゃない人がやる女装は見るに耐えないって言ってたじゃないですか!?」

「もう、少なくとも七年もやってるベテランが何言ってるの?オホホホホ」

ズシャッ!

「それにいつも違和感なく着こなしてるじゃない。女の子より似合ってるかもしれないわね」

バキッ!

「いつも敬語で優しくて、美形でそんなセイちゃんが売れないわけないし、手放せないわ」

ドゥクシッ!

オレのデリケートな心にチェリーさんの言葉が突き刺さる。
ベテランというか、無理矢理やらされてそういう形になっただけだし、男なのに女の子よりフリフリのワンピースが似合うなんて、ただ恥ずかしいだけだし、老人が健康サプリメントの感想を言っているようなセリフをオレに対して言ってくるし……。
オレには、チェリーさんに対抗できる勝利の女神はついていないようだ。