「じゃあ、お風呂沸いてるから、入ってきなさい。えっと、どっちから……」
オレとルナの顔を交互に見る母さん。
「ルナは先にお風呂入りますか?」
「ん?」
どうやら理解していないようだ。あまりに『ん』としか喋らないため、肩を揺らして笑うしかできなかった。
「じゃあ、オレが先に入ってきます」
そう言って、オレはリビングを出た。
廊下を、先程玄関から通ってきた方向に向かって歩き、しばらく行って右に曲がる。そこから奥に進むと、浴室。
扉を横に動かし、開ける。
入っていくと、周りは結構広くて、一気に大体六人くらい入れる。
オレは、いつも使っている奥の一番端にあるカゴの前に来る。
そして、服を脱ごうとすると……。
「ん」
真横にルナが立っていた。
「うわあ!?ルナ、急に出てこないでください。オレはこれからお風呂に入るので、あっちで待っててください」
オレは必死で言って、リビングの方向を指差した。それでも、ルナは動かない。
しかし、動いてもらわなければ困る。これでは一向にお風呂に入れない。
「ルナ。オレたちは、その、見た目的に同い年の男女なので、さすがに一緒に入るのは……」
オレが否定するのを聞かず、ルナはオレにしがみついてくる。
剥がそうとしても、意外に力があり、オレの力では外せない。
なんとなく、一つ謎が解けた。
あの家にいた時、ルナに向かって……。
『ルナ・エメラルド、その者を直ちに排除しなさい』
と言っていたのは、ルナが本当に強いからだ。
今更わかってももう遅い。体がガッチリかためられている。
「(う、動けない……)」
真顔だけど美形な顔が頭の下にある。そしてオレをじっと見てくる。
さすがにずっとこの状態だと体が痛いため、オレは諦めた。
「一緒に、入りたいんですか?」
「ん」
オレの質問に、ルナは素直にコクリと首を縦に振った。
本当にいいのだろうか。未だ決心のつかないオレは、俯いて黙っていた。
ポンポン……。
ルナがオレの肩を優しく突つく。ルナがこちらを眺めていることに改めて気づいたオレは、とりあえず言った。
「さすがに、お風呂の入り方ぐらいわかりますよね?」
不安なまま、ルナが知っていることを願って、オレは首を傾げる。
「ん?」
まさかのお風呂の入り方さえわからないという、今までどうやって生きてきたのかと考えさせられるルナに、正直少し可哀想だと思った。
オレには今こうして親がいて、たくさんのことを教えてくれる。
ルナには、家族や友達のような親しい人はいなかったのだろうか。
謎がまた増えた。
「ま、まず、服を脱ぐんです。あっち向いてますから、服を脱いで、えっと、あそこにあるバスタオルを体に巻いてください」
バスタオルを指差して軽く説明すると、オレはルナとは反対方向を向いた。
平常心、平常心。ここでオレがちゃんとしなければ、ルナが、いや、オレも困る事になる。
だが、オレの背後から一切物音がしてこない。
不思議に思ったオレは、さっきまで力を込めて、ギュッとつむっていた目を開けた。
驚く事に、ルナが真っ先に視界に入ってきた。しかも、着替えることもなく、ずっと同じ格好で。
「ルナ、服、脱がないんですか?」
「ん?」
お互いに意味不明。この無意味な会話が実に疲れる。普通だったら、お風呂の入り方がわからないだなんておかしい。
そんなことはともかく、これはつまり、オレが、脱がさなくてはいけないという事になる。
オレとルナの顔を交互に見る母さん。
「ルナは先にお風呂入りますか?」
「ん?」
どうやら理解していないようだ。あまりに『ん』としか喋らないため、肩を揺らして笑うしかできなかった。
「じゃあ、オレが先に入ってきます」
そう言って、オレはリビングを出た。
廊下を、先程玄関から通ってきた方向に向かって歩き、しばらく行って右に曲がる。そこから奥に進むと、浴室。
扉を横に動かし、開ける。
入っていくと、周りは結構広くて、一気に大体六人くらい入れる。
オレは、いつも使っている奥の一番端にあるカゴの前に来る。
そして、服を脱ごうとすると……。
「ん」
真横にルナが立っていた。
「うわあ!?ルナ、急に出てこないでください。オレはこれからお風呂に入るので、あっちで待っててください」
オレは必死で言って、リビングの方向を指差した。それでも、ルナは動かない。
しかし、動いてもらわなければ困る。これでは一向にお風呂に入れない。
「ルナ。オレたちは、その、見た目的に同い年の男女なので、さすがに一緒に入るのは……」
オレが否定するのを聞かず、ルナはオレにしがみついてくる。
剥がそうとしても、意外に力があり、オレの力では外せない。
なんとなく、一つ謎が解けた。
あの家にいた時、ルナに向かって……。
『ルナ・エメラルド、その者を直ちに排除しなさい』
と言っていたのは、ルナが本当に強いからだ。
今更わかってももう遅い。体がガッチリかためられている。
「(う、動けない……)」
真顔だけど美形な顔が頭の下にある。そしてオレをじっと見てくる。
さすがにずっとこの状態だと体が痛いため、オレは諦めた。
「一緒に、入りたいんですか?」
「ん」
オレの質問に、ルナは素直にコクリと首を縦に振った。
本当にいいのだろうか。未だ決心のつかないオレは、俯いて黙っていた。
ポンポン……。
ルナがオレの肩を優しく突つく。ルナがこちらを眺めていることに改めて気づいたオレは、とりあえず言った。
「さすがに、お風呂の入り方ぐらいわかりますよね?」
不安なまま、ルナが知っていることを願って、オレは首を傾げる。
「ん?」
まさかのお風呂の入り方さえわからないという、今までどうやって生きてきたのかと考えさせられるルナに、正直少し可哀想だと思った。
オレには今こうして親がいて、たくさんのことを教えてくれる。
ルナには、家族や友達のような親しい人はいなかったのだろうか。
謎がまた増えた。
「ま、まず、服を脱ぐんです。あっち向いてますから、服を脱いで、えっと、あそこにあるバスタオルを体に巻いてください」
バスタオルを指差して軽く説明すると、オレはルナとは反対方向を向いた。
平常心、平常心。ここでオレがちゃんとしなければ、ルナが、いや、オレも困る事になる。
だが、オレの背後から一切物音がしてこない。
不思議に思ったオレは、さっきまで力を込めて、ギュッとつむっていた目を開けた。
驚く事に、ルナが真っ先に視界に入ってきた。しかも、着替えることもなく、ずっと同じ格好で。
「ルナ、服、脱がないんですか?」
「ん?」
お互いに意味不明。この無意味な会話が実に疲れる。普通だったら、お風呂の入り方がわからないだなんておかしい。
そんなことはともかく、これはつまり、オレが、脱がさなくてはいけないという事になる。


