毎日ルナの学習タイム

「ルナちゃんはどうしたい?」

驚いた。
チェリーさんはオレにではなく、ルナに問いかけた。
しかし、ルナは喋れない。たぶん……。

「ん?」

そういうと思った。予想通りの反応だ。チェリーさんの言っていることを理解できていない。

ルナはきっと外国人だから日本語はわからないんだ。

最初はそう思っていたのだが、それもハズレな気がしてきた。
というのは、先程、ここまで走ってくる間にオレが知っている限りの言語で挨拶をしたのだが、全く反応がなかった。

反応がないというか、『ん?』としか言わなかった。

「ここにルナを住ませるっていうのはやっぱりできませんか?」

「無理ね。日本語がわからない子がここにずっといるのは……ルナちゃんが辛いんじゃないかしら」

ルナの方を見る。微動だにせず、ルナはオレの方を見ている。
さすがにずっとオレのことを見ているため、オレの方が緊張してくる。

「一日だけ泊めるのは……」

「仕事が忙しいから、ルナちゃんの相手が出来ないわ」

ことごとく拒否されてしまった。だからと言って、諦めることはできない。
ここ以外に、頼れる場所が存在しないからだ。チェリーさんが無理なら、オレは一体どうすれば……。

「セイちゃんの家に住ませればいいじゃない」

思いがけない言葉に、体が固まった。
何度でも言うが、オレは高校生。同い年くらいの男女が一つ屋根の下で住むなんて考えられない。

「セイちゃんが我慢すればいいだけよ」

「チェリーさん、今オレの心の中読みました?読みましたよね!?」

心を見透かすように言われて、オレの体に、急に熱がこもった。恥ずかしくて、ギュッと拳に力が入る。

「なんのことかしら♡あ、そうだ。聞いてなかったけど……」

話をそらしてくるチェリーさんの言葉をオレは必死で遮る。

「話を急にそらさないでください!ルナの年齢はわからないですが、たぶん同じぐらいだと思います。だから……」

「それより大事なことがあるでしょう」

「へっ?」

つい変な声が漏れてしまった。ルナがこれからどこで暮らすかよりも大事なこととはなんなのだろうか。

「わからない?」

チェリーさんは、オレの顔を伺うように覗き込んでくる。
しかし、オレにはわからない。黙ったまま、首をゆっくり横に振った。

ため息をついたチェリーさんは、優しく話し始める。