「はいは〜い、みんな集合!」

チェリーさんの掛け声で店中のオカマさんがオレの前に出てきた。

「セイちゃん!あからさまに嫌そうな顔しないの!」

ベシッ!

「いたっ。チェリーさん、暴力は女性としてダメじゃないんですか?」

「あらやだ、セイちゃんたら。急にあたしのこと女扱いして〜。褒めても何も出ないわよ」

何も求めてない。
それより、もっと女扱いして欲しいならもっと女性らしく、慎ましくしてほしいと思った。

「みんな、今日はセイちゃんデイよ」

ハッ……。
今、一瞬だけ、本当にほんの一瞬だけ聞きたくないフレーズがチェリーさんの口から出てきた気がする。

「本当、セイちゃんデイはいつも売り上げが4割増なのよね」

また聞こえた。
しかも、文章的にオレが利用されてる気がするのも感じた。

「セイちゃんデイは、女の子のお客さんも来てくれて、一層お店の中が華やぐから、この日がいつも楽しみなのよね」

セイちゃんデイ……。

「ちょっと待って!」

オレの言葉でさっきまで明るく話していた一同が固まった。
オレも雰囲気の影響で緊張する。

「オレ、嫌ですからね!もう高校生になったんです!今までのようにはいきません」