毎日ルナの学習タイム

勢いよく階段を駆け下り、豪雨のように恐ろしく険しい攻撃をなんとか避け、玄関の前まで来た。

「ルナ、外に出ますよ」

ルナにそう一言言って、彼女をおぶったまま、ギリギリ動かせる右手でドアノブを握った。

開けた先の外は、中とは違って、かなり静かな住宅街。
あれほどうるさかったというのに、周りからクレームの声も、怒鳴り声もしてこない。

防音なのだろうか。

その後も小走りで道を進んでいく。息を切らしながらも、一度止まり、後ろを振り返る。

「(良かった。追いかけてきてない)」

ほっと胸をなでおろす。
オレが安心したのを察したのか、ルナも最初に比べて、若干力が抜けているように感じる。

「ルナ、自己紹介がまだでしたね。オレは、一条星矢。なんだか、人をさらってきたみたいで、あんまりいい気分じゃないですけど……」

はにかみながらルナに自己紹介をする。もちろん、おぶったままなため、後ろを見て顔を合わせているわけではない。

「これからよろしくお願いします」

「ん」

「(やっぱり、言葉が通じてない?でも、なんとなくは理解している?)」

まだルナについてはよくわかっていないが、彼女は悪い子ではないと思う。

そう安心したのもつかの間、帰り道がわからない。ただまっしぐらに光を追いかけてきて、あの場所にたどり着いたために、周りを一切見ていなかった。

「どうしたら……」

すると、オレの首の横からルナの手が出てきて、胸ポケットを指差した。

そこからは、来た時と同じ。エメラルドグリーンの光が出ている。
一直線に伸びる光を見て、オレは再びその光についていった。そして思った。

「この光を見てると、ルナの目を見てるみたいで、ちょっと緊張します」

「……ん」

ルナもゆっくり返事をした。

「(えっと、な、何か話さないと……)」

オレは、光を追いかけることとルナと話すことで紛らわそうとするが、それは消えることがない。

「(さっきから、当たってる……)」

そう、今、彼女のことをオレはおぶっている。つまり、彼女の体がオレに預けられている。だからつまり……。

「(ルナの胸が当たっちゃってます)」

こう見えて、一応オレは高校一年の男子だ。そういうことに対して、意識だってする。
だが、ここで男として、理性は保っていたい。だから、気を紛らわす。

「ルナ、つ、辛くないですか?」

「ん」

「だ、大丈夫ですか?居心地は?(居心地ってなんですか〜!?)」

タジタジのオレに不安を抱いているのだろうか。オレの顔を、たまに覗こうとしてくる。

「ん?」

あまりに恥ずかしすぎて、目をそらす。やましい感情を持った自分に腹がたっているが、それがおさまることはなく、額に熱を帯びる。

気にしないためにも、気持ちを切り替えるためにも、首を横に振って、スッキリした状態になると、オレは光を追いかけていった。