毎日ルナの学習タイム

「なんなんですか、この状況〜!?」

『不法侵入者発見!不法侵入者発見!ルナ、その者を直ちに排除しなさい』

『ルナ』とは誰だろう。
というか、不法侵入者とは確実にオレのことだ。
慌てふためいたオレは、逃げようとするが、彼女が引き止める。

「ご、ごめんなさい。勝手に入ったのは謝ります。でも、決して怪しい者じゃないです」

もはや、男でも泣きそうだ。オレの心の中は後悔で埋め尽くされた。

ごめんなさい、すみません、そう謝っても、警報と女の人の声は暗闇の中でオレを追いかけるように続く。

『不法侵入者です!ルナ・エメラルド。こちらの命令に従い、その者を今すぐ排除しなさい』

ルナ・エメラルドという人に対して、かなり厳しい命令口調。
それが聞こえた直後、オレの横で、彼女が首をブンブンと横に振っていた。逆らうことに恐怖を感じているかのように目をギュッとつむって……。

「もしかして、『ルナ・エメラルド』って、君のこと?」

そう聞くと……。

「……ん」

少し間をおいて、コクンと頷いた。
彼女が、ルナ・エメラルド。もしオレがかなり強かったらどうするのだろう。こんな、ずっと寝たきりだったみたいに見える少女にできることだろうか。

『ルナ・エメラルド!そこにいるのは不法侵入者です。今すぐ理解し、その者を排除しなさい!』

トゲのある言葉に、ルナは過敏に反応する。たぶん、今のルナには、目の前にいるオレよりもスピーカーの向こうにいる女の人を怖がっている。