毎日ルナの学習タイム

始まり、それは音。

チャリッ……。

足元から何か音がした。靴の裏からデコボコした感覚が伝わってきて、違和感を覚える。

「ん？」

足を一歩後ろに戻し、しゃがんで暗い足元を見つめる。

「あっ！」

ちょうどオレが立っていた場所の真下には、鍵が落ちていた。その鍵には……。

『secret room』

と書かれた札が付いている。
疑問を抱きつつも、拾い上げた。

もしかしたら、先程の客の忘れ物かもしれない。そう思い、周りを見渡すが、二人の姿はすでに消えていた。

オレの視界に映るのは、一面に散りばめられたビルや店の光とその景色を背景に歩く人々だけ。
この中から、自らの手で探すのは、かなり困難だ。

諦めたその瞬間……。

「わっ！？」

鍵の先端から、エメラルドグリーンの光が一直線に出ている。
それは、街中の光の反射では表れない、強い光。

そして気付いた。その光に誰も気づいていないことを。

オレの心臓が、バクバクと音をたてる。漫画のような今の状況をうまく飲み込むことができない。

その鼓動を察するわけではなく、逆にオレを急かすように、光は点滅し始める。
焦ってはいけない。冷静に考えるのが妥当な判断だ。

そんな時、オレは光に呼ばれている感じがした。だが、この格好のままでは行きたくない。
どうすれば……。

どんなに考えても良い考えが浮かんでこない。それから、またしても光の点滅のテンポは激しくなる。
オレは、着替えるのを諦めて、光の方向に向かって走り出した。