オレはただ、ひたすらに歩いていた。
すでに夜になり、ガヤガヤとざわめく街中の音はオレの耳に響いてきた。

「もう〜、セイちゃん。ダメじゃない!?心配したのよ」

嫌な奴がきた。できれば関わりたくないが、これから行く目的地の店の店長だ。
彼女、いや、彼は……。

「なんですか、オ・カ・マ・さん」

「ムキ〜!ちょっとセイちゃん!呼び方がなってないわよ。チェリーさん♩でしょ!?」

世間一般にオカマと言われる族のチェリーさん。
正直、とっつきにくくて、少し困っている。彼は、あくまで女として振舞おうとしているが、オレよりも圧倒的に力がある。
そしてオレは、毎週やられるオカマからの拉致に今日も逃げられなかった。