何をしているのか、俺は・・・・・・。

守は軽いため息をつき、消しゴムで蝸牛の原型を留めていなそれを消し去った。

全く馬鹿馬鹿しい。

こんな子供じみた真似。

それもこれもこの退屈しきった授業にあるべきか。

守はふと窓側に顔を向けた。

しかし、外の景色を見ようにも紺色のカーテンが閉められているせいでそうもいかない。

外から風が入ってきているため、カーテンは心地よいウェーブを描いて揺れている。

昼間の暖かい日差しを受けたカーテン。

まあこれもいいかもしれない。

春風に吹かれ揺れるカーテンは、まるで生きているかのように見える。

そうしてしばらくその光景に見入っていると、ふと視界にある視線が飛び込んできた。

その視線は窓辺の席に座る女子生徒から発せられていた。

椎野美咲−−黒髪を肩まで垂らし、白い顔をした綺麗な女子だ。

男性が一般的に言う「カワイイ」とは違い、見ているだけで心が満たされるという類だ。

しかし、何故そんな彼女が自分に視線を向けているのか見当がつかない。

もしやこれは俗に言う愛という−−。