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身元不明遺体が発見された山の麓にあるK県−−。
都内のある公立高校−−二条橋高校では、いつものように授業が行われていた。
三年A組、校舎最上階の三階に位置するこのクラスでは、生物に関する授業が行われていた。
高校三年にもなれば、生徒も学習したのか、騒がなくなる。
静寂の中、白衣を着た若い女性教師が、チョーク片手に熱弁を奮っている。
そんな中、教室の真ん中の席に座る背が少し低めの青年−−速水守は頬杖をつきながら黒板を眺めていた。
目つきが鋭く、赤いフレームの眼鏡越しにノートを見下ろしている。
端から見ればエリート学生に見えなくはない。
整えられた黒髪が微かに眼鏡のフレームにかかっている。
右手は頬杖をつき、左手は黒板に書かれている生物の重要な要点をノートにメモっていく。
「蝸牛のような粘液性の腹足類動物は人体に対する危険性が非常に高く、髄膜炎感染がその主である。
寄生虫が人の脳を肥大化させるなどと−−」
守は黒板の字を全てノートに書き写すと、ノートの端に蝸牛の絵を描き出した。
始めは蝸牛の殻を描こうとぐるぐると何重にも円を描いていたが、途中で自分の絵の才能に失望して手を止める。
身元不明遺体が発見された山の麓にあるK県−−。
都内のある公立高校−−二条橋高校では、いつものように授業が行われていた。
三年A組、校舎最上階の三階に位置するこのクラスでは、生物に関する授業が行われていた。
高校三年にもなれば、生徒も学習したのか、騒がなくなる。
静寂の中、白衣を着た若い女性教師が、チョーク片手に熱弁を奮っている。
そんな中、教室の真ん中の席に座る背が少し低めの青年−−速水守は頬杖をつきながら黒板を眺めていた。
目つきが鋭く、赤いフレームの眼鏡越しにノートを見下ろしている。
端から見ればエリート学生に見えなくはない。
整えられた黒髪が微かに眼鏡のフレームにかかっている。
右手は頬杖をつき、左手は黒板に書かれている生物の重要な要点をノートにメモっていく。
「蝸牛のような粘液性の腹足類動物は人体に対する危険性が非常に高く、髄膜炎感染がその主である。
寄生虫が人の脳を肥大化させるなどと−−」
守は黒板の字を全てノートに書き写すと、ノートの端に蝸牛の絵を描き出した。
始めは蝸牛の殻を描こうとぐるぐると何重にも円を描いていたが、途中で自分の絵の才能に失望して手を止める。


