この二条橋高校は偏差値は中の下で、とても頭がいいとは呼べない。

その名残は学校の規則の緩さにも表れている。

女子のほとんどはスカートをかなり短くし、数人髪の色がおかしいのもいる。

男子はというと、ズボンを軽く下げたり、襟元のボタンを外したりと、女子と似たりよったりだ。

守は携帯を取り出すと、机の下でカバーを開いた。

SH904iのブルーのカバーが開くと、大きめのディスプレイ中央に見慣れた表示が。

『新着メール一件』

嫌な予感を感じつつも馴れた手つきでメールを開く。

案の定送信者の欄には『渡辺修一』の名前があった。

こいつとは中学からの仲で、運がいいのか悪いのかいつも同じクラスになる。

守が通っていた中学、高校では一年ごとにクラス替えがあるのだが、どういう訳かいつも修一と一緒になる。

どうやら俺と修一の絆は、中学、高校、合計六回のクラス替えの確率より強いらしい。

そんなこんなでこいつとは切っても切れない存在なのだ。

守はいつものごとく修一のメールに呆れるしかなかった。