私は、母親に署名を頼むと、

「あんたの母親は私じゃないけど。」

そう冷たく突き放された。母も、連れてくる男

も、目立つ傷を作らないから、先生方も友達も

虐待にきづかなかった。別に話す必要もないと

思った。結局、第一志望届を出せないで、今日

まで来てしまった。

「みい、署名してもらえなかったんだろ?」

「はい。」

ほら、また涙が…。母親のことでもう泣かない

って決めたのにな…。

「みい。みいに言っておかなきゃいけない

ことがある。」

先生の口から出る言葉に少しだけ恐怖を

感じた。

「香李…早坂先生はみいの家の事情を知っ

てる。だから今、早坂先生に志望届のこと

考えてもらってる。