歩く。北へ。真っ直ぐに。
おや、たんぽぽ。
其方は、いつ見ても力強い。石の隙間に根を張り、鮮やかな黄色を見せている。夏はもう、すぐそこまで来ているのか。嗚呼、怖い。逃げねば。太陽の光に炙られ、コンクリートに焼かれてしまう。まるで、塩焼き魚のようだ。それだけは、避けねば。私はまだ、命が惜しい。