「ニコーーーっ!」
ニコと蛍がはなしているのをほおづえをつきながらみていると、教室のドア付近からニコをよぶ声がきこえてくる。
毎日ききなれたその声はみなくてもだれかわかるのだけど、いちおうそっちに顔をむける。
「みーちゃんっ!」
“みーちゃん”とは、ニコの親友の美月。
ニコとは正反対で、サバサバした性格をしている。
学年でいちばんオシャレだとだれかがはなしていたのを、まえにきいたことがあるような。
ニコはかわいくて有名だけど、美月は美人で有名。
「あんた、つぎ体育だよ!」
「へ?」
「へ?じゃない!4限は体育って昨日も電話で言ったじゃん。時間ないんだから、ほら、いくよ!」
ため息をつきながら、ニコの体操着がはいったカバンをもって、ニコの腕をどんどんひっぱっていく美月。
当の本人は、
「天ちゃん、蛍くん、またね~」なんて、のんきなことを言っている。



