世界でいちばんキミが好き。




「蛍くんどぉ?」

「うーん……、ないねぇ」


「なにしてんの」


俺が教室にもどると、ふたりでポッキーがはいった袋をのぞきこんでいる。


「あっ、天ちゃん!あのね、ハート型のポッキーがでたらラッキーなんだって。でも、レアだからなかなかでないみたい」


箱に描いてある、そのハート型のポッキーとやらを俺にみせながらそう言うニコ。


「そんなんでしあわせになってたら、だれも苦労しないって」


鼻で笑いながら、俺は自分の席にすわる。


「女の子はこういうのが好きなんだもーん」


天ちゃんは女心がわかってないなぁ、と、ポッキーを食べながら言うニコの声には、きこえていないフリをした。


俺、男なんだからわかるわけねぇじゃん……。