ふりむけば、俺のそでをつかみながらうつむくニコ。
「どーした?」
「……だめ」
「え?」
なにかを言ったのだろうけど、ボソッとだからききとれなかった。
「ダメ。天ちゃんはニコのなの」
なんだよそれ……。
うつむいている顔をむりやり上にあげると、涙目になっているニコ。
これは、反則……。
かわいすぎかよ。
蛍、グッジョブ。
そして、さっきのあの子。
告白してくれたことにたいしてのありがとうとはべつに、もうひとつのありがとう。
あー、このままだきしめたい。
だけど、まだいじわるがしたいきもちがのこっている俺は、そんなことはしない。
「俺は、ニコのじゃないよ」
それだけ言うと、俺のそでをつかんでいるニコの手をそっとふりほどいて、ニコに背をむけてまた廊下をあるきだす。
目的地だった、2ー5の教室をとおりすぎて───。



