「オレは純粋に萌琉が欲しいんだけどな。」

笑顔でそう言うけれど。

『いや、拉致って利用してる時点で、信用できないから。』

その時だった。

ガシャーンと派手な音が下から聞こえて。

ちなみにここは二階ね。

「めぇるぅぅぅ~!何処だぁ~?!」

いまいち締まらないのが、うちのバカ兄貴の唯です。

「萌琉返せ~!」

きっと暴れまくってるな。

『下が破壊される前に、私行ったほうがよくない?』

「……。」

無言なんだけど。

『空(くう)?』

名前を呼んでみる。

「っ!ばっか!急に名前呼ぶな。」

トマトがいるんだけど。

名前呼んだくらいで、照れるなよ不良!

『空?手錠外してくれない?』

なんだかふわふわの真っ白い毛がついた手錠されてんだよね、私。

コイツ、変態だろ。

「やだ。」

そう言って、片手で縦抱きにして私を部屋から連れ出す空。

とりあえず大人しく運ばれてやるか。

暴れた所でどうにかなるもんでもない。

階段をおりてきたら、うん、みんな倒れてるね。