『なんでっ??』

「萌琉~!久しぶりっ!母ちゃんに無理矢理聞いた!江島さんに会いに行くって。」

唯が隣に来て抱きついてくる。

ちなみに江島は織ちゃんの名字ね。

『離れろ!目立ってるからっ。』

一生懸命引きはがそうとしてるけど、唯が全く離れない。

勘弁してよ。

あんた、目立つ存在なのわかってるでしょ!

「萌琉。オレ、萌琉以外と寝てねぇよ?女が勝手にくっついてきてただけで、お前以外はどうでもよかった。萌琉をフッたのは…これ以上、オレのせいでいろんなことに巻きこみたくなかったから。ただでさえ、唯の妹ってことで面倒なことになってんのに、オレまで深く関わり続けたらもっと傷つけると思ったんだ。でも、唯に電話で言ったこと聞いたよ。オレだけが萌琉に傷をつけれたんだって。ほんと、ごめん。」

今さら何なの?!

綺羅はどこまで最低なの?

巻き込みたくないとか傷つけたくないとか、それなら最初から付き合ったりするな!

今さら謝ったりするな!

「なんか言って?」

いつまでも黙ってる私に、弱々しく話しかける綺羅。

『…今さらね。だったら、最初から付き合う必要なかったんじゃない?それに自分がそれでいいと思って、行動したんだよね?それで謝ったりしないでよ。私を傷つける方法が最善だとあなたは思ったんだよね?今さら私を傷つけたこと、謝ってなかったことにしようとしないで!』

「ごめん。でも、謝らせて。萌琉、なぁ、オレの名前呼んで?あなたなんて、言うな…。」

泣きそうな顔の綺羅を見ながら、やっと唯から解放されて体の自由が戻ってきた私。

『イヤ。もう呼ばない。あなたに私が必要なかったように、私にもあなたは必要ないわ。やっと、次に進めるようになってきたのよ。』