しばらく歩き、俺は鍛冶屋の前まできた。ゆっくりドアを開けると。

「やぁ、いらっしゃい。
おや。レイトじゃないか。ずいぶんの間来てくれなかったから寂しかったよ」

ちょっとがらついた声で話しかけてきた。

「おう、久しぶりだな、菊爺。実は、今日旅に出ることにしたんだ。リーナがハウラス魔王の部下にさらわれてしまった、だから、リーナを助けるためにカルロスと旅に出る。だから、このあと多分カルロスも来ると思う。」

「おぉ!カルロス君も帰ってきていたのか。長い旅から帰ってきたのにもう旅に出るのか。若いって恐ろしいのぅ。」

「いやいや、そんなに恐ろしくもない」

この鍛冶屋に来る度に、菊爺が長話をしてなかなか帰らせてくれないから、少しうんざりしてた。

「それで、今日はどんな要件で?」

「やっと聞いてくれるか。
この剣を綺麗にしてくれ。」

そう言うと、俺は菊爺に自分の剣をさしだした。

「おぉー、随分汚れておる。
ちょっとまっててな。」

俺は、近くにある椅子に腰掛け待った。
すると、

「おまたせぇー。
綺麗になったぞ。」

「おぉ!ズッげぇ綺麗だな!」

「お代は、旅立ち応援で免除してあげるよ。あと、道に迷わぬように、地図もあげるよ。」

「サンキュ!菊爺!またいつかな!」

俺は、綺麗になった剣と地図を握りしめて、駆け出した。