ハッピーエンドじゃないけれど。

「ヤンキーだよ、俗に言う」

「まじかよ。そのまんまかよ」

「なにがだよ」

少し気になった人がヤンキーって...。

今どきマンガでもないよ。

「で、笑那は気になっちゃったと」

「いや、別にまだなにも」

「ヤンキーだよ、やめときなって」

...まだなにも言ってない。

ヤンキーでもやめとけって言われても...離れないんだもん、あの笑顔。

ガッツポーズしながらベースを蹴ったかわいい顔。

「...マジでヤバイらしいからね。クスリには手を出してないみたいだけど、レイプとか暴走行為は日常茶飯事だって」

「......」

「ね、カッコイイのかもしれないけど、やめときな。痛い目に遭うのは笑那だよ」

私の変化に気づいたのか、なっちゃんは念を押すように言葉をあびせてきた。

「...うん」

全然まだ大丈夫だよ。

一目見て『いいな』って思ったくらいで、まだ全然『好き』になんて到底届いていないから。