ハッピーエンドじゃないけれど。

「何買おっかなぶふっ!」

口から言葉は出るけど、頭の中では違うことを考えてる。

そしたら当然...ぶつかるよね。

「...いて」

「ご、ごめんなさ...!って」

この前と同じくだり...。

もしかして...。

「渉くんっ♡」

「あ...星野くん...」

「...おう」

華琳はすぐさま渉くんの前に駆け寄って行った。

「.........」

「.........」

今、ありがとうって言うチャンスだよ?

「.........」

いつもマシンガンくらいぽんぽん言葉が出てくるくせに、どーして出ないの!

こんなんじゃ、態度悪いよ...。

「ぶっ...」

「...?」

星野くんは口を手で隠した。

何十人もいる食堂で、星野くんに当たった私、逆にすごい?とか思いながら私はやっと口を開いた。

「ごめん、ね!私前見てなくて...」

「...いーよ、てかお前人にぶつかりすぎな。前見とけよ」

そう言うと、私の頭をリズムよく2回優しく叩いて、歩いていった。

「......はい。」

きっと私の目は星野くんを追いかけてた。

もうこれ、落ちちゃった。

落ちちゃった!

落ちちゃったよ!!!!

なっちゃんの言う通りでも、そうじゃなくても、落ちちゃったもん!

だって私単純だから!こんな小さなできごとで飛び上がれるくらい嬉しいって思ったから!

恋に!

落ちちゃった!!