ハッピーエンドじゃないけれど。

-笑那side-

星野くんのことは気になったまま。

「ありがとう」も言えてない。

球技大会から一週間が過ぎた。

暇な数学の時間。黒板の公式を写さずに頭に浮かぶことだけをノートに書き落とす。

「なんでなんだろー...」

ノートには、ソフト、お礼、遊びたい...。

小さく、星野くんって書いた。

なんで笑顔を見ただけでこんなに惹かれてるんだろう。

話せたら嬉しいって思うんだろう。

ヒトメボレってコレ?

「笑那ー、今日ご飯でも行かない?」

なんとなく気まずい...って思ってるのは私だけ?

「なっちゃん...えと...今日は...」

「用ある?」

ほんとはそんなことないんだけど...。

私が相談したいことって星野くんのことだから、やっぱり言いにくいもん...。

「...うん」

「そっか」

やだな。ウソなんてつきたくない。

「前に笑那に強く言っちゃったから、それでね...」

「...うん」

「星野くんのこととか謝りたかったんだ」

なっちゃんはこんなにも真正面から向き合ってくれるのに、私は弱虫だ。

「大丈夫...また今度聞かせてね」

「うん...」



このときなっちゃんが言った「謝りたかった」は、私の想像を遥かに超えたんだ。