ハッピーエンドじゃないけれど。

そっと立って俺は歩き出した。

今は「やったな」って言えなくてもいいと思った。

「.........」

いつか山岡に対するこの気持ちは『好き』になるのだろうか?

...正直信じらんねぇ。

ただ俺のことをビビんなくて、1回絡んだだけで、連絡先も誕生日もなんも知らねぇ。

なのにここまで惹かれるって、何かあんのか?

ブー...ブー...

スマホが震えた。

渉からだった。

[今年の墓参り行ったのか?]

「...」

特に意味はねぇけど、電話した。

[もしもし?]

「...よぉ」

[よぉ、なんで電話?]

「いや...特に...。あ、墓参りには行ったぜ。」

[...そうか、お前知ってるか?]

「?なにがだよ」

いきなりの投げやりな質問だった。

[お前が墓参りに行ってる...その人、山岡さん絡みあるみたいだな]

「え?」

どういうことだ?

[お前らなんか良い気がするよ。お前、山岡さんと仲良くなる前にちゃんと鳴海のこと言っとけよ]

「ちょ、おい!」

[じゃーな!]

そして電話は切れた。

機械音だけがなっている。

仲良くなるまえに言えるわけねぇだろ...?

朋花...いや、鳴海とのことなんて...。