ハッピーエンドじゃないけれど。

夢に゙泰ちゃん゙が出てくること。

゙泰ちゃん゙を思い出して星野くんのことに素直になれそうもないこと。

華琳は相槌を入れて聞いてくれた。

体育倉庫脇の草むらに腰を落として、いつかと同じように空を仰いだ。

こんな日は誰かに会いたくなる日だと私は思う。

「山下くん?そっか、三年ぶりくらいに笑那と話したね。なんか...今だから言えるけど、山下くんのことは触れちゃいけないと思ってたからさ」

そうだよね、私と同じ中学の人は皆思ってるだろうな。

「...うん、私も。」

「きっと笑那の中ではまだ終わってないよ」

「...知ってる。だけどね最近気になる人ができて、そしたらずっと夢に゙泰ちゃん゙が出てくるようになったの」

なんでだろうね。

まるで「おれを過去にしないで」って泰ちゃんが言ってるみたいね。

そんな私の考えとは真逆の華琳の意見に驚く。

「へぇ!今でも[笑那を守る騎士(ナイト)になる!]って言ってんのかな!」

「え...」

「いや、守ってるか!」

「...うん」

そーだよ?泰ちゃん。

私はずっとあなたに守られてるよ。

こんなに離れててもあなたは私を包んでくれてるよね...。

「逢いたいなあ、泰ちゃん、泰ちゃん...!」

「うん、うん...」