近いようで遠い恋

教室に着くと、男子たちがざわついていた。それは、太陽くんの彼女のこと。

「太陽〜お前彼女いたのかよー」

「しかも、愛梨ちゃんって隣のクラスだよな!すげー可愛いんだろ?」

などと、太陽くんの話題でもちきり。でも、女子たちは不機嫌そうに愚痴っているのがわかる。

「やっぱさーあれだけのイケメンに、あんな可愛い彼女ってお似合いだよね〜」

「そうだね」

私は、南と普通に喋れているのだろうか?笑えているのだろうか。なぜこんな気持ちになるのか、私はまだ、わかっていなかった。

「光帰ろう〜」

先生の話が終わると、部活のない私達は、一足早く帰ることができる。今日は、南と寄り道しようと、約束していた。

「おーい!太陽彼女だぞー」

男子たちのその声で、教室中が一気にざわついた。教室の前には、愛梨さんの姿がある。でも、私は、愛梨さんの横を何も言わず通り過ぎた。

(愛梨さん素敵な人だった。私とは全然違うな)

南とカフェにケーキを食べに来たが、食べる気にならない。

「ねー光〜」

私は、南に呼ばれてやっと気がついた。

「もーう、ぼーっとしすぎ、どうかしたの?」

私は、ハッとした。今日一日中、ずーっと光に名前を呼ばれていた気がする。

「なんでもないよーここのケーキ美味しいね」

私は、なんとかこのビミョーな空気を変えようとしたが、南は全く動じなかった。