「キミがボクにとって、
ーーとても大切な人だからだよ」



「……え……?」


「ボクは多分、
他のみんなよりも記憶が残ってる」


深い深いため息。

そして、
寂しそうな悲しそうな苦笑を浮かべた。


「だから、キミを見たときも、
キミが誰かわからないのに、大切な人だと、
それだけはわかって……泣いてしまったんだ」


「驚かせてごめんね」と。
小さく、消え入りそうな儚い声。


(胸が苦しい……。 これは、何……?)


そんな顔をしてほしくない。

苦しませたくない。

なのに私はーーー何も言えなかった。