「今日ここに来たのは、他でもない。
きみたちにこれをあげようと思ってね」


どこから取り出したのか、
いつの間にか彼の手にはタマゴ型の
大きな置物があった。


「それは?」


鳳仙が聞くけれど、お面の人は何も言わず、
それを地面に置いた。

すると。


「わぁ!」


思わず感嘆の声が出てしまう。

まるで花が咲いたように、床を彩り、
その中心から伸びた木の根が土台を作り。

小さな滝のように、
土台から水が流れていてーー。

私の腰くらいの大きさがあるそれは、
中央にあのタマゴ型の置物が佇んでいた。


「そこに置かれている、
ステンドグラスの欠片を渡してくれるかい?」

「………はい」


いつの間にか睡蓮が、
お面の人に欠片を渡し。

彼はそのステンドグラスの欠片を
なんの躊躇もなく、タマゴ型の置物の中に
埋め込んだ。


「は!? おい!」


ステンドグラスが消え、
焦った鈴蘭が声を荒らげる。



ーーーけれど。



「天井を見てごらん」


その言葉に従い、
視線を上にあげる……。


「おお!」


カタカタカタという音とともに、
天井に映し出された映像。

それは、とても大きな扉だった。


「これは、完成形のゲート。
きみたちが帰るためのーーー扉さ」