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走れば走るほど、
誰かの声と確実に近づいていく。

その先には、やはり。

黒い炎で揺らめく、あの化け物がいた……。


「っ!」


そして、その化け物と武器も持たず、
掛けられたお面を投げつけて対抗している
一人の男の人が目に入った。


「大丈夫か!」


藤が真っ先に駆け寄って
手の中に武器を呼び出し、
勢いのままに一太刀斬りつけた。


「…はぁ、はぁ。 あんたは?」

「俺は藤だ。
あの化け物を倒すんだろ? 手伝おう」

「仕方ないから、僕も入るよ。
……どうやら、一匹じゃないようだしね」

「おいおいおいおい!
ぞろぞろと……三体もいるじゃねぇか!」


暗くて見えなかったけど、確かに。

大きな体の化け物が、
廊下の幅をギュウギュウにして、
立ちはだかっていた。


(ど、どうしよう……!
こんないきなり三体も……)


「だから来たくなかったのよ!」


泣きそうな声で、桔梗が叫ぶ。

その声でハッとした。


(何も出来なくても、
せめて桔梗一人は守らないと……!)