「では、改めて。ーー我が名は【那智】。 ……神を支える、磐座であり神籬の者」 『そう……那智(なち)。 いい響きの名前だね……』 こうして話している間にも ヒビ割れは酷くなっていく。 それと同時に、 私の体も崩壊を始めていた。 私は、もう消えてしまった扉へと、その向こう側にいるであろう彼らに微笑みかけーー。 『さようなら。 ありがとう』 その言葉を最後に、 世界は音を立てて崩れ落ちたのだった。