いや、蝿は鬱陶しいだけだが、 こいつはどうしてかそう思えなかった。 おそらくクイナの瞳の奥に、 何か強い意志を感じ取ったから。 ……なのかもしれない。 (それより、イーグルって……) 「わたしが捨てた、昔の名前さ」 「!」 心を読まれたようなタイミングの良さに、 目を瞬かせながらクイナを見やった。 彼は小さく微笑み、そして…… 予想していたーーでも思考の外に追いやっていたことをあっさりと告げた。 「【館の主】であるーー 百合ちゃんに、出会ったときにね」