「えっ、そうなの?この時間じゃないでしょ?

前は、今より1時間早かったんじゃあ…。」




「それは違いますよ。この時間ですよ。毎日私

同じ時間なんですからぁ~。」




困ったように、顔を膨らます沙希は訴えを強くした。




「そうだったのかぁ~、ごめんよぉ~自分の思い込み

だったんだねぇ~。いやぁ~まいったぁ。」




玉田は観念して、手に頭をおいて、舌をだした。




「もぉ~。」




沙希もようやく笑顔になり、一緒に笑い出した。




「じゃあ、この間の続きの話でもしながら行こうかっ。」




「はい、続きの話はすっかり忘れましたけどねぇ~。」




二人とも、前より少し距離を縮めながら階段を昇り始めた。







「で、玉田さんは彼女さんいないんですかぁ~。」




沙希の声は弾んで玉田の耳に入ってくる。




階段の上から、振り落ちてくる光を




快く浴びる二人であった。