沙希は後ろから付いてくる男性を少し気にしてはいたものの

やがて、人ごみが増えて、知らぬ間に視界から消えた。




沙希は電車に乗り込む時まで、男性を一生懸命探したが、

見つからず、そのまま学校に向った。



















翌日、沙希は同じ時間に家を出た。

昨日の事も少し、気にはなっていたが、

追われる課題と朝と言う事で、そこまでの様子だ。




駅に着いて改札に定期を通そうとした時に

隣に昨日の男性が今にも通る姿を目にした。




男性も沙希に気付き、同時くらいに目が合った。




「昨日はどうもスイマセンでした。」




後ろから来る人の波をよけながら、改札を抜けた先で

正面向って、腰を折って再びお詫びをした。




「あっ、昨日は。災難だったねぇ。でも全然気にしてないし、

痛みも全然ないから安心して。」




優しく接する男性は手を振りながら、申し訳なさそうに

している沙希をなだめた。




「大丈夫だから、行きましょうかっ。」