※菜月side※

高校生活にも慣れ、学業とバイトに励みながら、それなりに楽しく学校生活は送っている。

私は矢野菜月。
まもなく16歳になる高校1年生。
早くに両親を亡くし、1人で住んでる事以外は普通の高校生と変わらない。
「今日の美術、デッサンだっけ?」

移動教室で隣を歩く同中出身の親友、髙瀬綺彼が嫌そうな顔をしながら聞いてきた。
『そうみたいだよ』
「まさか高校来てまでやるとは思わなかった…​…​」
中学ではお互い美術部に入ってはいた。たいした事やらないで、ただの雑談部になっていたのは言うまでもない。

『これでもかってくらい中学でやらされたよねー』
ドンッー…​…​

なんて喋りながら歩いていたら、すれ違い際に誰かにぶつかってしまった。
見上げると…​…
「わりぃな」
『永浦先生…​…​すみませんでしたっ』

永浦先生が持っていた資料も散らかってしまい、謝罪をしつつ急いでかき集めた。