一馬が病室を出ていった後、小林先生が回診に来てくれた。

「…心雑音が酷いね。しんどいだろ?」
「…少しだけ」

「…今夜からもう少し薬を増やすよ。しっかり飲んでね。ちゃんと効いてくるから」

「…はい」

「…満里奈ちゃん」
「…何ですか?」

「…一馬から話は聞いただろ?アメリカの」
「…はい」

「…本当に行かないの?」
「…はい」

「…治る可能性があるのに?」
「…はい」

「…満里奈ちゃん、主治医として、僕は、満里奈ちゃんがアメリカに行くことを勧めるよ」

「…」

「…今、色々検査をしてるけど、あまり良い状態じゃない。満里奈の心臓がいつ悲鳴をあげるか…時間の問題だよ」

「…一馬の友人としても、満里奈ちゃんには、生きてて欲しい。もし、満里奈ちゃんに、もしもの事があったら、一馬は、壊れてしまうかもしれない」

「…お兄さん、が?」

「…それほど君を愛してるってことだよ。君無しじゃ生きていかれないな、一馬は」

…どう答えたらいいのか、わからない。

そんな私を見て、小林先生は優しい笑みを浮かべた。

「…入院している間に、よく考えて」
「…」

小林先生も、病室を出ていった。

…独りになった病室で、私は色々考えた。

私が取るべき行動は…?