…次に目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。

私の手を握りしめ、心配そうな顔で私を見つめる。

「…御崎、社長」
「…良かった…突然倒れたから」

安堵した顔でそう言った零士は、ナースコールを押した。

「…目が覚めたら教えてくれって言われたから」
「…すみません、ご迷惑を…あの、仕事は」

「…急いで終わらせて、満里奈に会いに来たんだ。満里奈は何も心配しなくていい」

…間もなくして、主治医の小林先生が診察に来た。

「…このまましばらく入院だね。あれだけ無理はダメだよって言ったのに」

「…大人しくベッドで寝てたんですよ」

私たちの会話を、零士は静かに聞いていた。

「…あの、お兄ちゃんは?」
「…それがまだ、オペが終わらなくて。終わったら来ると思うよ。そちらは?」

「…申し遅れました。満里奈さんの会社の社長をしております、御崎零士と言います」

「…それはそれは。貴方が満里奈ちゃんを救急車で連れてきてくれたとか、ありがとうございました…それじゃ、また、後でくるよ。失礼します」

小林先生は、そう言って頭を軽く下げると、病室を出ていった。

…病室が、静かになった。

零士は椅子に腰かけると、再び私の手を取った。

「…課長から聞いたよ。満里奈に生まれつきの持病があるって…詳しい話を聞きたいんだが」

「…」

「…満里奈、俺では満里奈の支えになれないか?満里奈の為ならなんだってする。俺は満里奈の傍で、満里奈の支えになりたい」

…どうしてこの人はこんなにも優しいんだろう。

…写真を見て不安になった。

…私にキス以上の事をしてくれないのが不安だった。

でも、そんな事は小さな小さな不安でしかない。

この人はこんなにも、私を愛してくれる。

そう思うと涙が溢れた。