俺様社長の溺愛宣言

「…満里奈は俺じゃないと幸せになれない」
「…そんな事」

「…ないとは言わせない。俺は、今までずっと、満里奈を一番に考えてきた」

「…」

…違うとは言えない。確かに今まで、一馬がどんなことも一番に考えてくれて、傍に居てくれた。

でもそれは、私にとっては、お兄ちゃんとしてで。

「…満里奈」

俯いた私を、一馬は抱き寄せた。

「…ゃ」
「…満里奈、俺は満里奈を愛してる。1人の女性として」

ドンッ!

私はおもいっきり一馬を突き飛ばした。

そして、部屋を、実家を飛び出した。

…。

家に帰るまで、何も考えなかった。考えたくなかった。

玄関のドアを開け、中に入った。

力なくソファーに座ると、一気にさっきのことが頭をよぎる。

『…満里奈、俺は満里奈を愛してる。1人の女性として』

そう言って抱き締めた一馬は、兄ではなかった。

「…御崎社長、私は」

貴方の事を…

「…」

…私って?

そう思ったときだった。

突然携帯が鳴る。

出たくない…一馬だったら。

携帯を手に取ってみると…

『御崎零士』と表示された。

今声が聞きたい。零士の優しい低い声。

私は静かにそれに出た。

「…もしもし」
「…満里奈?」

…私の名を呼ぶその声は、本当に優しい。

「…どうしたんですか?」
「…満里奈の声が聞きたくなって」

「…今まで、ほったらかしにしてたくせに」

そう言ってハッとした私は、慌てて携帯を切った。