しばらく呆気にとられ、携帯を見つめるも、ノック音に我に返り、溜め息をついた。

…それからは気を取り直して仕事に集中する。

最後の仕事を片付けていると、携帯が光っていることに気づいた俺は、サッと携帯を取りひらいた。

「…」

『お昼はすみませんでした』

それだけのメール。相手は勿論満里奈。

時計に目をやると、午後6時。もう、満里奈は仕事を終えてるだろう。

『謝る必要はない。だが、断った理由が』

そこまでうって、やはりそれを全て消した。

携帯を置き、また、仕事に集中する。

全ての業務が終わったのは午後8時。

俺は、サッと片付けを済ませると、早足で社長室を出ると駐車場に行き、車に飛び乗った。

…急いで向かった先は。

「…はーい。…み、御崎社長、どうしたんですか、突然?」

驚き顔でそう言ったのは。

「…満里奈に聞きたいことがあってきた」
「…」

そう、満里奈のアパートだ。

「…ぇっと、とりあえず、中へどうぞ」

満里奈に言われ、中に入った。

「…とりあえずコーヒーでも「…いい、とにかくそこに座ってくれ」

俺のただならぬ様子に何事かと思いながら、満里奈は俺の向かい側に座って俺を見つめる。

「…聞きたいこととは?」
「…そのピアス」

「…ピアス?、ですか?」

耳に触れ、ピアスを触る満里奈。

「…それ、誕生日プレゼントか?」
「…よくわかりましたね。そうです、昨日貰ったんです」

「…男に?」
「…男に?…そうですね、男の人に、貰いましたけど」

…。