…寝言に私の名前が出ると言うことは、夢に私が出ているのかな?

「…何か、可愛い」

小さな声で呟いて、クスッと笑う。

しばらく零士に抱きついたまま、まどろんでいたけど、
いつまでもこのままでいるのは、零士が起きたときに困る。

私は、そっと、零士の腕から抜け出そうとしたが、寝ているにも関わらず、抱き締める力が強い。

…あぁ、起きたいのに。

腕の力が弱まる瞬間に、なんとか抜け出さなくては。

…。

緩まない。どうして!

私はパッと零士の顔を見た。

「…?!」
「…いくらもがいでも、離す気はないが?」

いつの間にか起きていて、私にそう言った零士は意地悪な笑みを浮かべた。

「…何時から起きてたんですか?」

寝起きの顔じゃない。何で?いつから?

「…満里奈が俺の顔をツンツンつついたくらいから?」
「~~~!!」

何てことだろう。それでは自分の行動が全て知られている。

恥ずかしすぎて、死にそうです。

零士の腕の中で慌てる私を羽交い締めして、零士はクスクスと笑っている。

…今ごろになって、緊張してくるとか、最悪だ。

「…離してくーだーさーいー!」
「…可愛いからイヤ」

「…御崎社長ー」
「…じゃあ…離してやるから目を閉じろ」

早く離してくれるならと、目をつぶると。

チュッ?!

私は目を見開いた。