「お寿司なんて食べ飽きてると思うんですけど……でも……。
やっぱり私にはこれしかなくて……」


あはは、と苦笑いを浮かべて呆然と固まる彼の横で照れ笑いを浮かべながら思いきり空を見上げた。

輝く星たちを見れば自然に目が細まる。
1つ1つの輝きは小さいのに沢山集まれば大きな輝きになる。

それは人だって同じだ。


「1人で無理しないで下さい。疲れたら立ち止まればいいんです。
立ち止まった後に、大きく1歩を踏み出せれば……それでいいと思います。
まずはお腹いっぱい食べてしっかり休んでください!」

「ミサキさん……」

「そしたらまた山瀬さんの元気いっぱいの笑顔を見せてください!」

「っ……あー……本当に……カワウソ……」

「ちょっ……山瀬さん!!」

「もう……どれだけ惚れさせたら気が済むんだよ……」


怒ろうと声を上げれば小さな声が耳に届いた。
その言葉に開きかけた口が閉じてしまう。
その代わりに頬に熱が集まって、心臓がおかしくなっていた。


「……い、いいから食べて下さい!」

「あ、照れてる? 本当にカワウソ~!」

「も、もう! 食べないなら没収ですからね! 私が食べます!」


パックに手を伸ばそうとすればそれは山瀬さんによって遠ざけられる。