守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

「き、気にしないで下さい……! 俺……嬉しいですから」

「え……?」

「ミサキさんが俺の事を考えてこうやって励まそうとしてくれて……凄く嬉しいです」


山瀬さんは屈む様に私に顔を近付ける。
目が慣れてきて、彼の顔が見えてきたせいで恥ずかしさが増してくる。
それでも顔を逸らす事が出来なかった。


「あっ……」

「ありがとうございます」


目の前でピタリと止まる顔はふにゃっとした笑顔に変わった。
その笑顔を見た瞬間、胸の中が騒ぎ出すのが分かった。


「お、お礼を言われる事では……!」


恥ずかしさの限界が来て、半ば強引に山瀬さんから離れる。

暫くお互いに黙り込んでいたが、山瀬さんが静かに口を開いた。


「……でも……君だけには見られたくなかった」

「え……?」

「キラキラ輝きながら楽しそうに仕事をする君に……あんな姿は見られたくなかった」


哀しそうに眉を下げる山瀬さんに、さっきとは違う意味で胸が騒いだ。